飯島町 K邸

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南側外観
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東側外観
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北側外観
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玄関土間の様子
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キッチンからリビングを見る
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リビングの様子
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リビングから寝室を見る
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キッチンの様子
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ロフトの様子
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ロフトからリビングを見る
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玄関付近の夜景
飯島町K邸

概要
敷地は中央アルプスから天竜川に向かうの河岸段丘の中腹ににあります。周辺は田畑が
広がり住宅が点在する地域です。街の中心部へ向かう道路に面しており、元々は畑で
クライアントの祖父が庭木を仮植えして保管している場所でした。道路からは一段上
がっており、時間を経て生け垣がしっかりと育っていました。
 敷地の西面には隣地住宅、南面には倉庫と今後開発される可能性の高い畑、東面は
道路を挟んで隣家が建っており比較的周囲を囲まれている印象の敷地です。


平面計画
平面計画は5,460mmx16,380mmというシンプルな長方形を分節した構成です。その箱に
袖壁を設け庭を囲むような配置になっています。袖壁は目隠しの役割と夏の朝夕の低い東・
西からの直射光を遮るための物でもあります。
短辺を2,275mmと3,185mmという幅で分割し狭い方に水回りとクローゼット、寝室
玄関土間の機能を充て、広い幅の方をLDKとして構成しています。
 敷地に対して建物を南側に配置しています。北側に庭という配置計画です。一般的には
南に庭を設けるのがセオリーですが、不確定要素が多く、隣家の裏の空間が丸見えで庭と
直接的な関係になってしまうので、プライベートな庭は自分の建物で仕切り、北側に確保。
南面は太陽光を得る為の開口を大きく確保し、1-2階と連続させることで、将来的に1階の
窓をカーテンで塞いだとしても十分に家全体が明るく保てることのできるよう考慮されています。
北側の庭はリビングと連続するように大開口を水平に切り取り庭との連続性を高めています。
日の当たる明るい庭を見ることができ、北面採光は均一な光を確保することができます。
たま中央アルプスと段丘(田切と呼ばれる段差の樹木帯)の遠景が西〜北へ見ることが出来る
ためこの敷地での北側への開口は非常に合理的に決っています。

 内部空間は、まさに仕切の無いワンルームの構成です。廊下機能は存在せず、機能が連続し、
面積的なロスが無い構成です。2階は2,275mmの廊下状の細長い空間で、現状はフリースペース
として客間や子供部屋として利用が検討されています。パントリー・クローゼット・納戸の
収納空間がしっかりと確保されることで、日常生活の空間に比較的物を置かなくて住む構成に
なっています。見せるものと収納する物しっかり別けることで潔い空間を実現しています。


構造計画
構造は木造の在来工法で比較的壁の存在を感じにくい空間構成を実現しています。
特徴的な登梁(38x286)が連続する屋根の構造表現が印象的な空間です。2階のロフトには
空中に浮いたバットレス(筋交い)を採用することで壁では無い軽い印象の構造を実現しています。
バットレスを梁で挟み水平力はH鋼を使って全体を固めています。流通品の6m以内の材料を用い
在来工法の中で出来る汎用性の高い工法となっています。


設備・その他
外壁はガルバリウム鋼板の一文字葺きテクスチャーを選定しています。ソリッドなヴォリューム
感が印象的です。庇の無い形状の為に高耐久性の材を選定しています。北側のプライベートな庭側
は庇を設け、唐松の外壁材を使用し、柔らかい印象にしています。
 外張り断熱を採用して欠損の少ない性能を確保。サッシは複合サッシのlow-eを採用。庭との関係、
太陽光の確保から高さの高いサッシを多様しています。開口箇所を限定し集中することで効率的に
採光(直射光・ダイレクトゲイン)を確保しています。

キッチンとダイニングテーブルは飯島町のHUMPさんのもの。こちらは県産(木曽)ナラ材です。
キッチンはL型のオープンです。キッチンは玄関に面しており家全体を見渡せる。繊細な木目を活
かした印象的なキッチン。キッチンがオープンのためパントリーを設けることで、余計な物が露出
いないように配慮されています。ダイニングテーブルも同じナラ材が使われており素材の統一感が
があります。丸型のテーブルは方位性が無く人数が変わっても対応出来るなどのメリットがあります。
この計画でもリビンク・土間との関係から丸形が採用されています。
 暖房にはペレットストーブを採用しています。
2階の窓から入った太陽光が床に反射して天井を照らしています。柔らかく拡散した光により
連続する梁がより立体的に見えて来ます。北側の庭は周囲は生け垣に囲まれ、視線も気にせずに
カーテンも必要ない生活を確保出来ています。家の内部だけで完結しない庭との連続性を物理的に
外に出る行為と、視線的に繋がって見える連続性を重視することで単純な間取り・広さでは得られ
ない広がりを獲得しているように思えます。
 「南側に庭」という当たり前に対して敷地と相談してみる。デメリットを克服して敷地に添った
当たり前の良さを確かめること。一見非常識に思える選択は、敷地とクライアントの生活が寄り添
う事でつくられる新らしい関係性を生み出しています。


飯島町K邸

所在地 長野県上伊那郡飯島町
主要用途 住宅
竣工年 2017年

設計・監理 暮らしと建築社
   担当/須永次郎 須永理葉
構造 木下洋介構造設計室
   担当/木下洋介
施工 有限会社新井建築
   
敷地面積  655m2
建築面積  93.57m2
延床面積 124.62m2
階数   地上2階 
設計期間 2015年11月~2016年10月
施工期間 2016年10月~2017年4月
写真撮影  上田宏